【Alice & Guy & Benihi】
ギィ「このところ、民族の分離独立投票が話題になってるっすねぇ。中東と欧州で」
アリス「そうね。スペイン北東部のカタルーニャと、イランからイラクを経てトルコまで分布する
   世界最大の少数民族クルド人の自治政府」

紅緋「どちらも中央政府は独立を認めない構えですし、周辺諸国も承認はしないつもりみたい
   ですねぇ」

アリス「クルドはねぇ。対 ISILダーイシュで諸勢力に協力した見返りに独立が欲しかったんでしょう
   けど、自治領内に油田都市キルクークがある時点で厳しいわね。資源をぽんと与える
   ほど心の広い国なんて無い」

ギィ「トルコでテロを繰り返してきた実績もあるっすからねぇ。そのトルコは、独立するなら石油
   パイプラインを遮断するとか圧力を強めてるっす。」

紅緋「トルコ軍がテロリストを追ってイラク北部の自治領まで越境したことも、少なくありません
   でしたよね」

ギィ「ISILの壊滅が間近になった今、もはやクルドのペシャメルガももう用済みってことっす
   かね?」

紅緋「国際政治は冷酷です」
アリス「スペインの方は、分離独立投票の賛成票が9割を超えたってカタルーニャ州政府が
   宣言したわね。投票率が中央政府の妨害で4割そこそこらしいけど」

紅緋「そもそも、なんでカタルーニャ州は独立しようとしてるんです?」
アリス「カタルーニャはスペイン継承戦争まで独立国だったのよ。それがカスティーリャを中心
   とするいわゆるスペインに併合されて、フランコ独裁時代まで長らく抑圧されてきた。20
   世紀後半になってやっと、カタルーニャ文化が認められるようになってきたけど、富める
   地方であるカタルーニャは自分達の税金が他の貧しい地方に回されるのに憤りを感じ
   ていたの」

ギィ「それに加えて、アリスが話した歴史的問題っすね。今回は中央から派遣された警察が
   投票箱を押収しようとしたり衝突があったりで、州政府発表によれば800人あまりが
   病院で治療を受けたそうっす」

アリス「死者ゼロですんでるのが奇跡的だけど、これでカタルーニャの姿勢はより強硬になる
   でしょうね」

紅緋「どちらもしばらくは、目が離せませんね」
2017.10.02 Mon l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲
【Alice & Guy & Benihi】
ギィ「昨今話題に上ってやしたが、とうとう衆議院解散で総選挙っすね」
紅緋「せっかく連立与党で三分の二の議席を持ってるのになんで解散したんでしょう?」
アリス「安倍総理の支持率が下がってるから、解散して国民に信を問う。そういうことでしょ?」
ギィ「つっても、北核とか政治的空白を作ってる場合じゃない状況だって言うのに。一応菅官房
   長官と小野寺防衛相は待機するんでやしたか?」

アリス「まあ、北の核に対する態度とかで、票の確保は見込めそうよね」
紅緋「東京都知事が新党結成して国政に打って出るってのもよく分かりません。野党勢力が
   野合始めてるし」

アリス「『都民ファースト』じゃなかったのかって言うね。知事って、特に東京都の知事って、
   政治活動の片手間に出来るほど暇だったかしら?」

ギィ「民主党、じゃなかった民進党も、賞味期限短かったっすね。今回の選挙の構図は自公vs
   希望vs共産くらい?」

アリス「見所は、希望がどの程度票をとるかね。無党派を結構持っていったみたいだし」
紅緋「これからしばらく、選挙カーで賑やかになりそうですね」
2017.09.28 Thu l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲
【Alice & Guy & Benihi】
アリス「昨日に続いて、お茶の話よ。ただし、今日のは深刻」
紅緋「ダージリン地方で紛争ですか……。アリスさん、ダージリンお好きですもんねぇ」

  『ダージリンの対立激化で紅茶不足深刻、収穫9割減 数年影響の恐れ』(2017年07月04日付 AFP通信)

アリス「見出しの9割減っていうのは今年の6月だけの話だけど、このままじゃ、ダージリンの
   主力セカンドフラッシュに影響が出るのは避けられないわ。ダージリンに限っては、去年
   のものを使えばいいでは済まされないの」

ギィ「古ければ古いほどいいワインとは、そこが決定的に違うっすねぇ」
アリス「茶葉は、時間の経過で傷んでいくばかりだから。問題の根っこは、茶園労働を担う
   ネパール系ゴルカ人の子弟が通う学校で、ベンガル語の履修が義務づけられたことに
   よるのね。それをネパール文化を抹殺してベンガル人の文化を押しつけようとする動き
   だとして、ベンガル人中心の州政府と対立、紛争状態に陥ったと」

紅緋「多民族国家の統治は大変です。少数民族への配慮を怠ると、民族独自の主張がすぐに
   紛争に直結する」

アリス「紅茶の産地は、多かれ少なかれ、民族紛争を抱えているのだけれどね。セイロンも
   LTTEタミル・イーラム解放のトラを抱えているし、ケニアも内戦国家ソマリアと隣接しているわ」

紅緋「輸入元が不安定なら、和紅茶を増産しましょう!」
アリス「和紅茶のほっこりした味わいは好きだけど、それ一辺倒っていうのも楽しくないわ。
   各地のお茶を色々楽しみたい。そんな私からすると、今回の紛争はいただけない。茶園
   の放棄は、今後数年間は悪影響を引きずるって話だし」

ギィ「ゴルカ人の自治領『ゴルカランド』は実現するんでやしょうか?」
アリス「どうかしらね? 一つの民族に自治権を認めたら、次は自分達だっていう少数民族が
   いそうだし、簡単に認められるとは思えない。何と言っても、19世紀からずっと続いて
   きた問題だから」

紅緋「年季が入ってますね」
アリス「筋金入りよ。これからダージリンティの値段はどうなるかしら?」
2017.08.04 Fri l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲
【Alice & Guy & Benihi】
アリス「静岡県議会九月定例会に提出される予定だった『県製茶指導取締条例』の廃止案が、
   県民の八割の反対を受けて、提出が中止されることになったわ」


  『製茶条例廃止案 意見公募の8割「反対」 9月議会提出見送りへ 静岡』(2017年08月03日付 産経新聞)

紅緋「さすが茶所。品質維持のための条例があるんですねぇ。ブランドを維持するには必要
   だと思いますけど、どうして廃止なんてお話に?」

ギィ「あー、イタリアのスーパータスカンみたいなことっすね、これ?」
アリス「さすがにギィは理解が早い。この条例では、静岡で作られた緑茶に別の食品、添加
   物、着色料を使うことを禁止しているの。茶葉の素の実力だけで勝負して、ブランド力を
   高めようという狙いね」

紅緋「はい、そこまでは分かっています」
アリス「でも、例えば静岡で茉梨花茶を作ろうとすると、いちいち知事の承認が必要になるの。
   他のフレバードティの場合も同じ。多様化する消費者の好みにすぐに対応できるよう、
   条例を廃止しようとしたんだろうけど、それを県民はNOと言った」

紅緋「むむ、あちらを立てればこちらが立たずですか」
ギィ「原産地統制保護の法規制ではよく出てくる問題っすよ。自分が詳しいワインで、話を進め
   やしょう」

紅緋「お願いしますっ」
ギィ「EUの統合が進んでるとはいえ、ワイン法などの国内法にはまだまだ違いがあるっす。
   フランスの例ではボルドーが適例っすね。ブルゴーニュは、単一品種でのワイン造りを
   してるっすから」

アリス「赤なら、ピノ・ノワールかガメイ。白はシャルドネとアリゴテ。一種類のワインは、そのうち
   一種類のブドウだけを使って醸造される。ブドウ品種を混ぜない」

ギィ「補足をどうも。それに対してボルドーは数種類のブドウの混醸や独自の醸造法を認めて
   るんすよ。そこにシャトー側の工夫の余地がある」

アリス「年によって混ぜる割合を変えたりね」
紅緋「それはどちらもフランスですよね? さっきはイタリアって言ってませんでしたか?」
ギィ「そう。ワイン法は国ごとにあるんすよ。フランスにワイン法があるように、イタリアにもワイン
   法があるっす」

紅緋「それはそうでしょうね」
ギィ「で、話をイタリアワイン法に移すと、醸造に使うブドウの種類や醸造方法まで、法律で
   決めてるっす。法の定義から外れると、格付けから弾かれるっす」

紅緋「なんだか堅苦しいですね」
ギィ「そういう状況下で、ワイン法の定義や格付けなんて知ったことかという精神で全く新しい
   ワインを世に出したのが、さっき言ったスーパータスカンなんすよ。品質のためなら、法
   の定義や格付けに囚われず独自の道を行く。そういうワインは、喝采を持ってワイン界
   に受け入れられやした」

紅緋「ようやくお話が見えてきました。静岡の製茶条例は、イタリアのワイン法と同じことになっ
   てるってことですね」

ギィ「そういうことっす。スーパータスカンは、格付けなしでも高い価格で取引される一躍人気者
   になりやした。一方で、静岡茶の場合は、革新より保守の空気を感じるっすねぇ」

アリス「でも、スタンダードが無いと、そこからの逸脱も出来ないわよ?」
ギィ「いやいや、法を破ることが目的じゃ無いんで。最近は少し基準を緩めたらしいっすね、
   イタリアの法も」

紅緋「静岡の製茶条例も、条例改正で対応するみたいですね。バラエティに富んだお茶が出て
   くるのが楽しみです」

ギィ「条例は1956年施行なんすね。ワインも、これくらい厳格な、条例や国の法律があれば
   いいのに」

アリス「条例レベルでは、甲州市が原産地統制保護呼称の条例を作ってるわね。他のところ
   は、乾杯条例とかいう意味なさそうな条例ばっかりだけど」

紅緋「やっぱり国レベルで動いてもらわないと難しいんですかねぇ?」
2017.08.03 Thu l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲
【Alice & Guy & Benihi】
ギィ「日本とEUが、ワインやチーズの関税についての協議を始めてるっす。順調にいけば、
   EU内で生産されたワインは、将来関税無しで日本に入ってきやす」


  『日欧EPA交渉 ワイン関税撤廃で調整 EU産、数年かけ』(毎日新聞 2017年05月17日付)

アリス「関税撤廃は既定路線で、あとはいつそれをするかの条件交渉って感じかしら。これで、
   日本でもフランスワインが安く飲める?」

ギィ「そう考えるのは安直っすよ。現在EPAを結んでいないEU産ワインにかかる関税は、輸入
   価格の15%または1リットルあたり125円のいずれか低い方っす。この程度の関税で
   価格が左右されるのは、AOP認証を受けてないテーブルワイン。そしてフランスは、
   この価格帯を主戦場にしてやせん」

紅緋「フランスのワインは高いですもんね。5000円台で100円ちょっと安くなったからって、
   お得感はあまりないなぁ」

ギィ「ええ、このレベルでライバルたるチリワインと競り合うのは、イタリアやスペインっす。両国
   とも千円未満のワインが得意っすね。もちろんサッシカイアやバローロのような額が段
   違いのワインもあるんすけど」

アリス「その価格帯の国にとってこそ、恩恵があると」
ギィ「今やコンビニを席巻する500円未満のワンコインワインは、ほぼ間違いなくチリワイン
   っす。欧州産は、関税分を抑えてまでは進出出来なかった。それが、日欧EPAでチリと
   対等に戦えるリングに上がれるようになるっす」

紅緋「欧連は、2019年での関税撤廃を求めてきてますね。あと2年。本朝は、TPPの発効
   から8年後まで先送りしたがってますが」

ギィ「イタリア・スペインにとっては、少しでも早く関税を取っ払ってほしいでやしょうからね。
   日本がカウンターで出してきてるカードは、酪農業への影響が大きいチーズの関税
   維持っす。ワインのためなら、チーズに手を付けずに行く可能性もあるっす」

アリス「ふむ、日本ワインへの影響はどうかしら?」
ギィ「多少の淘汰はあるでやしょうが、大抵のワイナリーはワンコインの価格帯を戦場にして
   やせん。それに観光客のご当地土産としての需要は侮れないっす。何より、しっかり
   したワイナリーは、関税に保護されるまでもない競争力を持ってやす」

アリス「甲州種にマスカット・ベ-リーA種。他に各国で作られてるワイン用品種もあり、と」
ギィ「まあ、関税が撤廃されても、賑やかになるのはワンコインの世界だけだと思うっすよ」
2017.06.17 Sat l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲