【Alice & Guy & Benihi】
アリス「昨日に続いて、お茶の話よ。ただし、今日のは深刻」
紅緋「ダージリン地方で紛争ですか……。アリスさん、ダージリンお好きですもんねぇ」

  『ダージリンの対立激化で紅茶不足深刻、収穫9割減 数年影響の恐れ』(2017年07月04日付 AFP通信)

アリス「見出しの9割減っていうのは今年の6月だけの話だけど、このままじゃ、ダージリンの
   主力セカンドフラッシュに影響が出るのは避けられないわ。ダージリンに限っては、去年
   のものを使えばいいでは済まされないの」

ギィ「古ければ古いほどいいワインとは、そこが決定的に違うっすねぇ」
アリス「茶葉は、時間の経過で傷んでいくばかりだから。問題の根っこは、茶園労働を担う
   ネパール系ゴルカ人の子弟が通う学校で、ベンガル語の履修が義務づけられたことに
   よるのね。それをネパール文化を抹殺してベンガル人の文化を押しつけようとする動き
   だとして、ベンガル人中心の州政府と対立、紛争状態に陥ったと」

紅緋「多民族国家の統治は大変です。少数民族への配慮を怠ると、民族独自の主張がすぐに
   紛争に直結する」

アリス「紅茶の産地は、多かれ少なかれ、民族紛争を抱えているのだけれどね。セイロンも
   LTTEタミル・イーラム解放のトラを抱えているし、ケニアも内戦国家ソマリアと隣接しているわ」

紅緋「輸入元が不安定なら、和紅茶を増産しましょう!」
アリス「和紅茶のほっこりした味わいは好きだけど、それ一辺倒っていうのも楽しくないわ。
   各地のお茶を色々楽しみたい。そんな私からすると、今回の紛争はいただけない。茶園
   の放棄は、今後数年間は悪影響を引きずるって話だし」

ギィ「ゴルカ人の自治領『ゴルカランド』は実現するんでやしょうか?」
アリス「どうかしらね? 一つの民族に自治権を認めたら、次は自分達だっていう少数民族が
   いそうだし、簡単に認められるとは思えない。何と言っても、19世紀からずっと続いて
   きた問題だから」

紅緋「年季が入ってますね」
アリス「筋金入りよ。これからダージリンティの値段はどうなるかしら?」
2017.08.04 Fri l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲
【Alice & Guy & Benihi】
アリス「静岡県議会九月定例会に提出される予定だった『県製茶指導取締条例』の廃止案が、
   県民の八割の反対を受けて、提出が中止されることになったわ」


  『製茶条例廃止案 意見公募の8割「反対」 9月議会提出見送りへ 静岡』(2017年08月03日付 産経新聞)

紅緋「さすが茶所。品質維持のための条例があるんですねぇ。ブランドを維持するには必要
   だと思いますけど、どうして廃止なんてお話に?」

ギィ「あー、イタリアのスーパータスカンみたいなことっすね、これ?」
アリス「さすがにギィは理解が早い。この条例では、静岡で作られた緑茶に別の食品、添加
   物、着色料を使うことを禁止しているの。茶葉の素の実力だけで勝負して、ブランド力を
   高めようという狙いね」

紅緋「はい、そこまでは分かっています」
アリス「でも、例えば静岡で茉梨花茶を作ろうとすると、いちいち知事の承認が必要になるの。
   他のフレバードティの場合も同じ。多様化する消費者の好みにすぐに対応できるよう、
   条例を廃止しようとしたんだろうけど、それを県民はNOと言った」

紅緋「むむ、あちらを立てればこちらが立たずですか」
ギィ「原産地統制保護の法規制ではよく出てくる問題っすよ。自分が詳しいワインで、話を進め
   やしょう」

紅緋「お願いしますっ」
ギィ「EUの統合が進んでるとはいえ、ワイン法などの国内法にはまだまだ違いがあるっす。
   フランスの例ではボルドーが適例っすね。ブルゴーニュは、単一品種でのワイン造りを
   してるっすから」

アリス「赤なら、ピノ・ノワールかガメイ。白はシャルドネとアリゴテ。一種類のワインは、そのうち
   一種類のブドウだけを使って醸造される。ブドウ品種を混ぜない」

ギィ「補足をどうも。それに対してボルドーは数種類のブドウの混醸や独自の醸造法を認めて
   るんすよ。そこにシャトー側の工夫の余地がある」

アリス「年によって混ぜる割合を変えたりね」
紅緋「それはどちらもフランスですよね? さっきはイタリアって言ってませんでしたか?」
ギィ「そう。ワイン法は国ごとにあるんすよ。フランスにワイン法があるように、イタリアにもワイン
   法があるっす」

紅緋「それはそうでしょうね」
ギィ「で、話をイタリアワイン法に移すと、醸造に使うブドウの種類や醸造方法まで、法律で
   決めてるっす。法の定義から外れると、格付けから弾かれるっす」

紅緋「なんだか堅苦しいですね」
ギィ「そういう状況下で、ワイン法の定義や格付けなんて知ったことかという精神で全く新しい
   ワインを世に出したのが、さっき言ったスーパータスカンなんすよ。品質のためなら、法
   の定義や格付けに囚われず独自の道を行く。そういうワインは、喝采を持ってワイン界
   に受け入れられやした」

紅緋「ようやくお話が見えてきました。静岡の製茶条例は、イタリアのワイン法と同じことになっ
   てるってことですね」

ギィ「そういうことっす。スーパータスカンは、格付けなしでも高い価格で取引される一躍人気者
   になりやした。一方で、静岡茶の場合は、革新より保守の空気を感じるっすねぇ」

アリス「でも、スタンダードが無いと、そこからの逸脱も出来ないわよ?」
ギィ「いやいや、法を破ることが目的じゃ無いんで。最近は少し基準を緩めたらしいっすね、
   イタリアの法も」

紅緋「静岡の製茶条例も、条例改正で対応するみたいですね。バラエティに富んだお茶が出て
   くるのが楽しみです」

ギィ「条例は1956年施行なんすね。ワインも、これくらい厳格な、条例や国の法律があれば
   いいのに」

アリス「条例レベルでは、甲州市が原産地統制保護呼称の条例を作ってるわね。他のところ
   は、乾杯条例とかいう意味なさそうな条例ばっかりだけど」

紅緋「やっぱり国レベルで動いてもらわないと難しいんですかねぇ?」
2017.08.03 Thu l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲
【Alice & Guy & Benihi】
ギィ「日本とEUが、ワインやチーズの関税についての協議を始めてるっす。順調にいけば、
   EU内で生産されたワインは、将来関税無しで日本に入ってきやす」


  『日欧EPA交渉 ワイン関税撤廃で調整 EU産、数年かけ』(毎日新聞 2017年05月17日付)

アリス「関税撤廃は既定路線で、あとはいつそれをするかの条件交渉って感じかしら。これで、
   日本でもフランスワインが安く飲める?」

ギィ「そう考えるのは安直っすよ。現在EPAを結んでいないEU産ワインにかかる関税は、輸入
   価格の15%または1リットルあたり125円のいずれか低い方っす。この程度の関税で
   価格が左右されるのは、AOP認証を受けてないテーブルワイン。そしてフランスは、
   この価格帯を主戦場にしてやせん」

紅緋「フランスのワインは高いですもんね。5000円台で100円ちょっと安くなったからって、
   お得感はあまりないなぁ」

ギィ「ええ、このレベルでライバルたるチリワインと競り合うのは、イタリアやスペインっす。両国
   とも千円未満のワインが得意っすね。もちろんサッシカイアやバローロのような額が段
   違いのワインもあるんすけど」

アリス「その価格帯の国にとってこそ、恩恵があると」
ギィ「今やコンビニを席巻する500円未満のワンコインワインは、ほぼ間違いなくチリワイン
   っす。欧州産は、関税分を抑えてまでは進出出来なかった。それが、日欧EPAでチリと
   対等に戦えるリングに上がれるようになるっす」

紅緋「欧連は、2019年での関税撤廃を求めてきてますね。あと2年。本朝は、TPPの発効
   から8年後まで先送りしたがってますが」

ギィ「イタリア・スペインにとっては、少しでも早く関税を取っ払ってほしいでやしょうからね。
   日本がカウンターで出してきてるカードは、酪農業への影響が大きいチーズの関税
   維持っす。ワインのためなら、チーズに手を付けずに行く可能性もあるっす」

アリス「ふむ、日本ワインへの影響はどうかしら?」
ギィ「多少の淘汰はあるでやしょうが、大抵のワイナリーはワンコインの価格帯を戦場にして
   やせん。それに観光客のご当地土産としての需要は侮れないっす。何より、しっかり
   したワイナリーは、関税に保護されるまでもない競争力を持ってやす」

アリス「甲州種にマスカット・ベ-リーA種。他に各国で作られてるワイン用品種もあり、と」
ギィ「まあ、関税が撤廃されても、賑やかになるのはワンコインの世界だけだと思うっすよ」
2017.06.17 Sat l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲
【Alice & Guy & Benihi】
アリス「メイ首相が前倒しさせたGB下院総選挙の結果、与党保守党は議席増どころか議席を
   減らし、下院の過半数を割ったわ。誰が見ても負けでしょう、これ」

紅緋「でも、メイさんはまだ首相を続けるつもりのようですよ?」
アリス「ノーザン・アイルランドの地域政党・民主統一党と連立を組めば、過半数に届くからね。
   逆に野党第一党の労働党を核に、在野政党で連立を組んでも、過半数に届かない」

ギィ「でも、お膝元の保守党からも、公然と辞任要求がでてるっしょ。もうレームダックじゃないっ
   すか?」

アリス「選挙戦略を間違えたのが大きいわね。在宅高齢者介護費の自己負担分を引き上げた
   というのは、保守党全体の責任だけど、メイ首相はメディアでの他政党党首との討論を
   避け続けた。これが、信用出来ないというエリート層の不信を買ったのね。後はまあ、
   下層階級の負担増に対する単純な反発?」

ギィ「この先、首相官邸ダウニング街10番地はどう動くっすか? 本来の目論見は、選挙で勝って国民の
   信任を得てから欧連離脱交渉に強気で臨むという路線だったはずっすけど」

アリス「完全に首相の誤算ね。これでメイ首相は国内の突き上げを受け止めながら交渉しない
   といけなくなる。ブリュッセルとの交渉で譲歩する余地は大きく減ったわ」

紅緋「これから本番のブレグジット交渉で、イギリスが不利な条件をのまされる可能性が
   強まったってことですね。いくら支持率が高くても、選挙では何が起こるか分からない。
   まさに他山の石です。安倍総理が気の迷いを起こしませんように」
2017.06.10 Sat l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲
【Alice & Guy & Benihi】
アリス「ロンドンでまたテロだわ。ロンドンブリッジをバンでひき逃げしたあと、車から降りてバラ
   マーケットで手当たり次第に切りつけて」

ギィ「なくなった方は、スコットランドヤードの発表では7人っすね」
紅緋「イギリスでは、先月もコンサートで自爆テロがあったばかりですよね?」
アリス「マンチェスターね。あれは十代の少女を含む22人が命を落とした。酷い事件よ。三月
   のウェストミンスター寺院の件を入れて、これでもう三件目。いい加減にしてほしいわ」

ギィ「去年まで大陸で荒れ狂ってたテロの嵐が、ドーバーを越えて英国に上陸したって感じ
   っすね。テロリストの目的は、社会をテロルの恐怖で包み込むことっすよ。過激主義の
   跳ねっ返りどもに、ジョンブルの意地を見せてやってくださいな」

アリス「もちろんよ。メイ首相は、もうこれ以上はあり得ないと啖呵を切ったわ。反社会的なテロ
   リストどもは、事が起こる前に予防拘束でも何でもやらなきゃ。MI5も総動員ね」

紅緋「でも問題は、これらの事件がまったく別個に起きてることですよね。まるで、“Stand
   Alone Complex”ですよ」

ギィ「過激主義の伏流を断つには、社会の改革を進めないといけないっすけど、まずは対処
   療法で時間稼ぎっすね。これ以上の事件がないよう祈ってるっすよ」

アリス「ありがと。GBにケンカ売ったこと、後悔させてやりましょう」
2017.06.04 Sun l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲