【Lucia】
 北アイルランドが数年ぶりの緊張状態に入っています。連合王国への帰属維持を求める、新教系のユニオニストの私兵集団『UVF(アルスター義勇軍)』が旧教系の住宅地を襲撃したことから騒擾が起き、双方200人ほどが対峙して投石などを繰り返しているとか。

  『北アイルランド・ベルファストで宗派間衝突、ここ数年で最悪』(AFP通信2011年6月23日付)

 元々アイルランドは連合王国が全土を支配していたんですが、20世紀前半の独立戦争、英愛戦争で大部分が独立。王国からの移民が多かった北部6州だけが内乱に突入して引き続き連合王国の治めるところとなったわけです。
 その後はアイルランド統一を目的とする旧教のIRA(アイルランド共和軍)と、新教中心の治安組織が長く対立を続けてきました。IRAのテロでは、数千名の犠牲者が出ています。
 ですけど、1998年、北アイルランド政府=連合王国、IRA、その他私兵集団、アイルランド政府によって、『ベルファスト合意』が締結されました。これにより、アイルランドは北アイルランドの領有権を放棄。問題の最終的解決を図ったわけです。
 アイルランドからテロの脅威が薄らぎ、同国は高度成長を始めます。この時期には、“ケルトの虎”と呼ばれたりもしました。しかし、純然たる国内企業は見当たらず、外資と不動産バブルに寄りかかった成長でした。そして、欧州諸国で最も早く不動産バブルがピークアウト――下降局面に転じました。そして、2010年11月26日、アイルランドはEUとIMF(国際通貨基金)の支援を受け入れることになったのです。
 IMFの方針は、緊縮財政。政府の支出を絞るのが基本です。結果、GDPが縮小し、税収が落ち込み、緊縮財政を強化しなければならないという、負のスパイラルに入ってしまいます。ちなみに、この時点で通貨安が起こり輸出主導で経済が回復していくものですが、共通通貨ユーロを流通させているアイルランドはその「ボーナス」さえありません。これはギリシアと同じです。

 今回の暴動は、思想よりも経済の挫折が原因で起きたんじゃないかなぁと、私は思っています。まあ、宗教にしろ経済にしろ、一朝一夕で解決する問題ではないんですけどね。

2011.06.23 Thu l 政治・経済 l COM(0) TB(0) l top ▲

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